猫の腎細胞癌(右腎臓摘出)
主訴
10月初旬、飼い主様が腹部の異変に気づき、かかりつけの動物病院を受診されました。当初は経過観察となりましたが、10月中旬の腹部超音波検査で、腎臓の上部に嚢胞状(袋状)の構造が確認されたとのことでした。
病状について厳しい見通しを伝えられ、精査および治療を目的に当院を受診されました。
来院時、食欲は維持されていましたが、著しい体重減少が認められました。また、腹部超音波検査の際には、触診でも明瞭に分かるほどの大きな病変が確認されました。
検査① 血液検査
赤血球増加症(多血症)が認められました。腎機能に関連する検査数値は以下のとおりでした。
尿素窒素(BUN):50 mg/dL
クレアチニン(CRE):1.7 mg/dL
SDMA:18 μg/dL
検査② CT検査・内視鏡検査
内視鏡検査では明らかな異常所見は認められませんでした。一方、CT検査では右腎臓の著しい腫大が確認されました。


治療
検査所見から早期の外科的摘出が望ましいと判断し、検査翌日に右腎摘出術を実施しました。



摘出した腎臓は、確定診断のため、外部検査機関へ病理組織検査を依頼しました。
診断
病理組織検査の結果、「腎細胞癌」と診断されました。
検査報告では、猫の腎細胞癌は比較的まれで、予後に関するまとまったデータが乏しいとされています。
検査した組織の範囲では、血管やリンパ管への明らかな腫瘍細胞の侵入(脈管侵襲)は認められませんでした。
経過
退院時には腎機能に関連する血液検査値が低下し、食欲および元気の改善が認められました。
今後も転移の有無や残存する腎臓の機能を含め、全身状態を確認しながら継続的に経過観察を行います。
飼い主様へ
お腹の腫れや、食べているのに体重が減るなどの変化がみられた場合は、早めにご相談ください。
中高齢の猫では、血液検査に加え、必要に応じて超音波検査などの画像検査を組み合わせ、病気の早期発見・早期治療につなげましょう。